2025年の出力抑制制御の最新動向と太陽光発電オーナーが取るべき対策

2025.04.22

コラム

2025年の出力抑制制御の最新動向と太陽光発電オーナーが取るべき対策

目次

  • 出力抑制制御とは?
  • 2025年 各地域の出力制御予測データ
  • 2024年→2025年 出力抑制率の比較
  • 地域によって抑制率が減少している理由
  • 予測値であることと今後の変動可能性
  • 太陽光発電オーナーが取るべき対策
  • オンライン化による出力制御への備え
  • 太陽光発電 保険の重要性
  • まとめ

出力抑制制御とは?

地上設置型の太陽光発電所。需要と供給のバランスによっては、発電設備の出力を一時的に抑制する必要が生じる。

まず、「出力抑制制御」とは再生可能エネルギーの発電設備に対して電力会社が一時的に発電出力の停止や抑制を要請し、供給量を調整する仕組みです。日本では太陽光発電の急増に伴い、需要を上回る発電が発生した際に、余剰分を調整する必要から2018年に九州電力管内で初めて本格的な出力抑制が実施されました 。以降、特に太陽光発電の多いエリアで晴天時を中心にこの「出力抑制(出力制御)」が行われるようになり、発電事業者の売電収入にも影響を及ぼしています。

出力抑制が行われる背景には、再生可能エネルギーが優先給電ルールによりできるだけ優先的に発電される一方、電力系統の安定供給のためには需要と供給のバランスを保つ必要があることがあります。需要が少ない日に太陽光や風力の発電量が需要を上回りそうな場合、まず火力発電を絞れるだけ絞ってもなお余剰が出るときに、再エネ側の出力をカット(抑制)するのです。また、地域間の送電線容量の制約で他地域へ余剰電力を送りきれない場合も、その地域内で出力抑制をせざるを得ません。

出力抑制は発電事業者にとっては売電できない時間を意味するため、投資採算に影響します。例えば2023年度には九州電力管内を中心に大規模な出力抑制が発生し、日本全国合計で約17億kWhもの発電が止められたと報告されています 。これにより「売電収入が激減してパワーコンディショナが故障したのでは?」と心配する声も出たほどです。それでは、最新の2025年度の出力抑制制御の見通しはどのようになっているでしょうか。地域別のデータから傾向を見てみましょう。

2025年 各地域の出力制御予測データ

2025年度に各電力会社から発表された出力抑制(出力制御)の予測データによれば、再エネの出力抑制量は全国合計で約20億kWhと見込まれています。これは前年度(2024年度見通し)の約24億kWhから4億kWhほど減少しており、全体として約20%の抑制量減になる予測です。抑制率(発電可能量に対するカット割合)で見ても、多くの地域で2024年度より低下する見込みとなっています。

2024年→2025年 出力抑制率の比較

以下の表は主要な電力エリア別に、2024年度と2025年度の年間出力抑制率および想定される抑制電力量を比較したものです。公式発表値に基づき作成しました。

地域 2024年度 抑制率 (%) 2025年度 抑制率 (%) 差分 (▲増 / ▼減)
北海道 0.20 0.30 ▲ +0.10
東北 2.50 2.20 ▼ ‑0.30
東京 0.00 0.009 ▲ +0.009
中部 0.60 0.40 ▼ ‑0.20
北陸 1.10 2.10 ▲ +1.00
関西 0.70 0.40 ▼ ‑0.30
中国 5.80 2.80 ▼ ‑3.00
四国 4.50 2.40 ▼ ‑2.10
九州 6.10 6.10 0
沖縄 0.07 0.20 ▲ +0.13

 

 

 

注: 抑制率は各地域の太陽光・風力発電の合計に対する年間出力制御量の割合。抑制量は億kWh(1億kWh=100百万kWh)単位で予測値を示す。東京電力管内は2024年度は抑制ゼロ見通しだったため数値データなし(「ほぼ発生せず」)、沖縄電力管内は規模が小さいため数値が小さく表示上丸めの関係でパーセンテージが変動して見える。

2025年度の予測では、九州エリアが依然として群を抜いて高い抑制率(約6%)となっています。九州は抑制率こそ横ばいですが、抑制電力量は約10億kWh超と日本全体の半分以上を占める見込みです 。一方、北海道や東北、関西、中部、四国、中国といった他の多くのエリアでは抑制率・抑制量ともに減少傾向にあります 。特に中国電力管内(中国地方)や四国電力管内では、前年に比べ抑制率がおよそ半分程度まで大きく低下する見通しです。

ただし北陸電力管内のみ例外的に抑制率が上昇する予測となっています 。北陸は2024年度は1%強でしたが、2025年度は2%超へ上昇し抑制電力量も倍増の見込みです 。この理由については後述しますが、一時的な要因(揚水発電所の整備計画等)によるものと推測されます。

以上のように、2025年度は九州こそ高止まりなものの全国合計では出力抑制が減少に転じる見通しとなっています 。では、なぜ地域によって抑制率に差が出たり、抑制量が減少するエリアがあるのでしょうか。その背景を見ていきましょう。

地域によって抑制率が減少している理由

2025年度に多くの地域で出力抑制率が低下傾向となっているのは、国や電力各社が進める**「出力制御抑制に向けた対策パッケージ」**の効果が現れてきたためと考えられます。この対策パッケージは再エネの出力抑制を減らすために2023年末に取りまとめられたもので、需要側・供給側・系統側のあらゆる工夫を総動員する内容です。具体的には以下のような施策が含まれています。

  • 需要面での対策: 抑制が必要な時間帯に大口需要家の消費を促す取り組み(需要家の行動変容)や、余剰電力を利用する新サービス創出など 。例えば工場などが余剰電力時間帯に操業を増やしたり、家庭で電気自動車の充電を行うよう促すことで需要を底上げします。
  • 供給面での対策: 火力発電の更なる出力調整(最低出力の引き下げ)や、揚水発電の活用強化。可能な限り火力を止めて再エネを優先し、それでも余る場合に揚水発電所で水を汲み上げて電力を貯蔵するなどで再エネのムダを減らします 。2025年度予測で北陸の抑制率が上昇したのは、揚水発電所の点検停止等で一時的に調整力が落ちる影響と考えられます。
  • 系統(グリッド)面での対策: 地域間連系線(エリア間送電網)の運用見直し・増強です。これにより従来は緊急時に備えて空けていた他地域への送電容量を平時から最大限活用し、余剰再エネ電力をできるだけ他のエリアへ送るようにしています。その結果、北海道~本州間や東北~東京間でより多くの電力を融通できるようになり、北海道や東北エリアでは抑制見通しが大幅に低減しました 。同様に四国や中国地方でも本州側へ送電できる余地を拡大したことで、抑制率が下がったと考えられます。

もう一つ重要なポイントは、出力制御のオンライン化の進展です。以前はリモート制御装置を付けていない(オフライン型の)発電所の場合、一律の割合で売電分が差し引かれる「経済的出力制御」が行われていました。しかし現在はオンライン制御(遠隔で個別に出力指示を出す方式)が普及しつつあり、エリア全体でオンライン化が進めば必要最小限の抑制で済むようになります 。実際、2024年度の試算では「もし全発電所がオンライン制御対応なら、抑制率を半分近くまで下げられる」というデータも示されています。オンライン化の推進も各地で抑制率低減に寄与している要因です。

以上の対策により、需要拡大+供給調整+広域融通+オンライン化という多面的なアプローチで2025年度は多くの地域で出力抑制を減らせる見込みとなりました。特に東北や北海道は送電網活用の改善効果が大きく、九州も抜本的解決には至らないものの一部で揚水活用や需要喚起が図られています。

予測値であることと今後の変動可能性

注意すべきは、上記の数値はあくまで現時点での予測値であり、実際の出力抑制量・抑制率は今後の需給状況や設備増加によって変動し得るということです。例えば、予測時に想定した以上に新たな太陽光発電設備が増加すれば、追加の余剰電力が発生して抑制量が増える可能性があります。逆に想定より需要が伸びたり(例えば猛暑で冷房需要が増加)、電力貯蔵技術のさらなる導入が進めば、抑制は減るかもしれません。

また、天候要因も影響します。予測では平均的な気象条件をもとにしていますが、例えば日照時間が異常に長い春気温が低く需要が少ない時期があると、予測以上に抑制が発生することがあります。一方で台風や大雨が頻発して日照が少なかった年は抑制が少なく済むかもしれません。このように再エネ出力抑制は需給バランス次第で柔軟に行われるものであり、年間の数値も多少の上下動は避けられません。

2025年度以降も、送電網の新増設(例えば大規模な地域間連系線の強化計画など)や制度変更(例えば優先給電ルールの見直しFIP制度への移行による調整)などによって、抑制状況が大きく変化する可能性があります。実際、2026年度以降にはFIT電源を優先的に抑制しFIP電源は極力抑制しない新ルールも段階的に導入される予定であり 、これによって市場連動型の発電所は出力制御リスクが下がる見通しです。太陽光発電オーナーの皆さんは、こうした動向にもアンテナを張りつつ、自身の設備に与える影響を見極めていく必要があります。

太陽光発電オーナーが取るべき対策

出力抑制の状況と今後の見通しを踏まえ、地上設置型の太陽光発電所を所有する個人・法人のオーナーが検討すべき対策についてまとめます。収益への影響を最小限に抑え、リスクに備えるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

オンライン化による出力制御への備え

まず発電所のオンライン化対応です。前述の通り、遠隔出力制御に対応していないオフライン型の発電所は、出力制御が発生した際に一律の割合で売電額から差し引かれる(代理制御とも呼ばれます)ため、実際よりも多めに収入が減るケースがあります。一方、オンライン制御対応の発電所であれば、必要なときに必要な分だけピンポイントで抑制が指示されるため、無駄なカットを最小限にできる利点があります。

経済産業省や各電力会社も旧ルールの発電所に対してオンライン制御機器の設置を強く推奨しています。未対応の場合は早めに遠隔制御装置の導入を検討しましょう。オンライン化することで、「仮に抑制があっても最小限の影響にとどめる」ことができます。実際にオンライン化率が上がれば抑制率が大幅に低減するシミュレーション結果も示されており、設備投資にはなりますが長期的な安定運用のためぜひ対応しておきたいところです。

また、オンライン化された発電所ではリアルタイムで制御状況が把握できるマイページや通知サービスが用意されている場合もあります。最新の情報を随時確認でき、必要に応じた運転計画の調整も行いやすくなるため、発電事業者の安心感も高まるでしょう。

太陽光発電 保険の重要性

次に**「太陽光発電 保険」の見直し・加入です。出力抑制そのものは保険で防げるものではありませんが、抑制が収益を圧迫する状況下ではその他のリスクに確実に備えておくことの重要性**が増します。実際、太陽光発電所を保険無しで運用することは非常に危険であり、自然災害による機器故障などはメーカー保証の対象外になる場合も多いです。したがって、発電設備には適切な保険を掛けておき、予期せぬ事故や災害で長期停止といった最悪の事態にも備えることが肝要です。

保険には主に設備そのものの損害を補償するもの(動産総合保険や火災保険)、発電不能期間の売上減少を補填する休業補償、そして第三者賠償責任保険などがあります 。特に台風で飛ばされたパネルが他人の財産に被害を与えるケースや、落雷・雪害・盗難による機器破損は決して珍しくありません。太陽光発電設備向け保険に加入しておけば、こうしたリスクから発電事業を守り、金融機関からの信頼確保にも繋がります。近年は自然災害の増加で保険料が値上がりする傾向もありますが 、それでも未加入のリスクと比べれば安心料といえるでしょう。定期的に契約内容を見直し、必要な補償が確保されているか確認しておくことが大切です。

その他の対策や今後の選択肢

上記以外にも、太陽光発電オーナーが検討すべき選択肢があります。例えば、発電した電力の地産地消や蓄電によって系統への依存を減らす方法です。余剰電力を自社施設で自家消費したり、蓄電池に充電してピーク以外の時間に放電することで、出力抑制による損失を実質的に減らす取り組みも考えられます。

また、固定価格買取制度(FIT)満了後のプランとして市場連動型のFIPへの移行や、**仮想発電所(VPP)**への参画も視野に入ります。前述のとおり2026年度以降はFIPの方が抑制されにくい運用になる予定であり、市場価格に応じたプレミアムを得るFIPは今後主流となっていく可能性があります。早めに情報収集し、自分の発電所に適した売電スキームを選択することも、長期的な経営安定につながるでしょう。

さらに、九州など抑制率が高止まりしているエリアでは、発電所の売却や他地域での再投資を検討する動きも一部で出ています 。実際に出力制御が原因で発電所を手放すケースも報告されており、抑制リスクと残債務などを天秤にかけて判断する局面もあるかもしれません。もし売却を検討する場合は、専門業者に査定を依頼したり、実績のある仲介サービスを利用することをお勧めします。

まとめ

2025年の出力抑制制御の最新動向を見ると、全体的には改善傾向に転じているものの、地域差が依然大きく、特に九州では引き続き高い抑制率が予想されています。出力抑制は再生可能エネルギー普及に伴う避けがたい課題ですが、国の対策パッケージや各種技術導入によって徐々に緩和されつつあることが公式データから伺えます。ただし予測値は確定ではなく、実際の抑制量は需給状況次第で変動するため、常に最新情報をウォッチする姿勢が必要です。

太陽光発電オーナーの皆様にとって重要なのは、状況に応じたリスクヘッジと設備対応です。オンライン制御の導入で出力抑制の影響を最小限に抑え、太陽光発電 保険への加入で自然災害等から設備と収益を守ることが基本的な対策となります。さらに将来を見据えて、電力の自家利用や新たな売電スキーム(FIPへの移行など)も選択肢に入れつつ、自身の事業計画をアップデートしていきましょう。

出力抑制と上手に付き合いながら、太陽光発電ビジネスの安定運営を図るために、ぜひ本記事で紹介した対策を参考にしていただければ幸いです。再生可能エネルギーの最大活用と安定収益の両立に向けて、今後も動向を注視し適切な対応を取っていきましょう。

参考資料:


 

監修者:川原 史則

「太陽光発電の保険相談所」を運営する株式会社FFFの代表取締役。
太陽光発電に特化した損害保険代理店として約11年の実績を誇り、2023年5月時点で累計契約件数は2万件を突破。太陽光発電と保険の両分野に精通する稀有な存在として、全国各地から日々寄せられる保険相談に対応している。