太陽光パネル盗難対策に警察庁が本腰!今すぐできる自衛と保険のススメ

2025.04.22

コラム

太陽光パネル盗難対策に警察庁が本腰!今すぐできる自衛と保険のススメ

太陽光パネルなど金属盗難が急増する背景

近年、太陽光発電所のケーブルやパネルを狙った盗難事件が全国で多発しています。2020年頃には年間約5,000件だった金属盗難の認知件数が、2023年には約1万6千件、2024年にはついに2万件を超える見込みと急増しています。被害額も年々増えており、2023年の被害総額は約132億円にも上りました。特に盗まれているのは電線に使われる銅線ケーブルで、被害額の約7割(約98億円)を銅が占めています 。太陽光発電設備から大量の銅線が盗まれると、その発電所は長期間発電が停止するため、修理費だけでなく売電収入の損失も大きくなります。

なぜこれほど盗難が増えているのでしょうか?背景には主に二つの要因があります。一つは銅の価格高騰です。銅は世界的な需要増や経済情勢を背景に2020年頃から価格が急上昇し、2022年前後にはピークに達しました。銅線は換金性が高いため、盗んで転売すれば大きな利益になることから犯行グループが目を付けています。また二つ目の要因は、太陽光発電所の立地です。多くの太陽光設備は郊外や山間部にあり、夜間は無人になることが多いです。「監視員が常駐していない隙を狙われている」ケースが多く、広大な敷地ゆえに全部を見守るのが難しいことも盗難を招きやすくしています。さらに盗まれた金属は国内の金属買い取り業者に持ち込めば現金化できてしまう実態があり、盗品を捌きやすい環境も手口の横行に拍車をかけています。

※日本における金属盗難認知件数の推移(2020〜2024年)

※警察庁まとめ (銅価格高騰で金属盗急増、法規制で盗品流通に歯止めを 警察庁報告書:朝日新聞) (金属盗難対策法案を閣議決定、買い取り業者に営業届け出を義務化|SOLAR JOURNAL)より作成

上のグラフのとおり、金属盗難(銅線窃盗を含む)の件数はここ数年で爆発的に増加しています。特に茨城県や千葉県など関東の5県で全国被害の約半数を占めており、被害が特定の地域に集中する傾向も指摘されています。「銅線泥棒」とも呼ばれるこれらの窃盗犯から、大切な太陽光発電設備を守るために何ができるでしょうか?まずは警察も重い腰を上げ始めたという最新動向について見てみましょう。

警察庁がまとめた「金属盗難対策」報告書のポイント

盗難被害の急増を受けて、警察庁は2024年9月に有識者による検討会を立ち上げ、太陽光発電設備を含む金属盗難対策の議論を重ねました。そして令和7年(2025年)1月7日に「金属盗難対策に関する検討会報告書」を公表し、今後の対策の方向性を示しています。警察庁長官も記者会見で「悪質な買い取り業者の存在が金属盗を助長している。法案提出に向け速やかに作業を進める」と述べ、対策に本腰を入れる姿勢を示しています。

この報告書の要点を簡単にまとめると以下のとおりです:

  • 金属盗難は件数・被害額ともに近年極めて大きくなっており、社会インフラである太陽光発電施設にも被害が及ぶ深刻な状況なので、全国レベルで有効な対策を迅速に講じる必要がある。
  • 現状は自治体ごとの条例頼みだが、条例が未整備の地域が盗難の抜け穴になりかねないため、全国一律に網をかける法律による対応が適切と結論付けた。
  • 対策の柱として、(1)金属くず買受業者(スクラップ業者)の規制強化、(2)犯行に使われる道具の規制、(3)被害に遭いやすい事業者への防犯情報提供の三点が挙げられた ()。

要するに、「盗まれた金属が換金される流通経路を断つこと」「盗難を物理的に困難にすること」「被害防止の情報を行き渡らせること」が重要だと指摘しています。特に警察庁は盗品の売却先となる金属回収業者の管理を強化する必要性を強調しましたでは、その具体策とはどのようなものなのでしょうか?

日本のリサイクル業界の盲点と盗品流通の問題

盗難品が業者に簡単に売れてしまう背景には、日本国内の金属リサイクル業界の制度上の盲点があります。それは、金属スクラップ買い取り業が許認可制ではないという点です。現在、古物商のような厳格な許可や本人確認義務が金属くず業者には全国一律では課されておらず、事業を始める際の行政への届出義務もありません。極端に言えば、「今日から銅線買います」と誰でも商売を始められてしまう状況でした。このため、一部に盗品と知りつつ買い取る悪質な業者が入り込む余地があり、実際に「盗んでも買い取ってくれる業者がいるから犯罪が増える」という指摘がなされています 。

実際、自治体レベルでは対策が進み始めています。被害の多い千葉県では2025年1月に金属買い取り業者の規制強化条例を施行し、茨城県でも同年4月に独自の条例を施行予定です。しかし全国には条例が無い地域も多く、「条例がない地域が盗品の逃げ道になりかねない」と報告書でも懸念されています。現状では真面目な業者さんばかりではなく、残念ながらモラルの低い業者が盗難被害を助長しているのが実態なのです。

警察庁・政府の今後の対応方針(本人確認義務化など)

警察庁の検討会報告書を受け、政府は早速対策に乗り出しました。2025年3月11日、政府は「金属盗難対策法案」を閣議決定し、現在開会中の国会に提出する方針です。この法案は正式には「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案」といい、以下のような内容が盛り込まれています

  • 金属くず買い取り業者に営業の届け出を義務化 …すべての業者が所轄に事業届出を行い、未届け出で営業した場合は6か月以下の懲役または100万円以下の罰金など処罰対象とする。
  • 買い取り時の本人確認義務化…業者が金属(特に電線など)を買い取る際、運転免許証など写真付き身分証で売却人の本人確認を行い、その記録と取引記録を3年間保存することを義務付ける。盗品の疑いがある場合には警察へ申告する義務も課す。違反業者には営業停止命令や罰則も科す。
  • 大型カッター等の工具所持の規制 …盗みの手口として多用されるケーブルカッターやボルトクリッパー等を車などに隠し持っていた場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。正当な理由なく深夜に工具を積んでうろつけば摘発され得るようになります。

政府は法案成立から1年以内の施行を目指す方針で、2025年中の法施行が見込まれます。この法律が施行されれば、少なくとも国内で盗んだ金属を売りさばくことは格段に難しくなるでしょう。本人確認が必須になれば盗品だと足がつきやすくなりますし、無届け業者も処罰されれば闇のルートも減ると期待されます。

とはいえ、法律が整って効果を発揮するまでには時間がかかります。「法律ができたから明日から盗難ゼロ」というわけにはいかないのが現実です。そこで重要になるのが、施行までの間そして施行後も引き続き、我々太陽光発電設備のオーナー自身が行う自衛策です。

法整備が整うまで必要な自衛策とは?

法による規制強化は大きな抑止力になりますが、それでも完全に被害が無くなる保証はありません。特にこれから法施行までの間は、盗難リスクに晒された状態が続きます。したがってオーナー自身でできる防犯対策を講じておくことが肝心です。以下に、今すぐ実践できる主な自衛策をリストアップします:

  • 防犯カメラやセンサーの設置: 太陽光発電所の周囲に夜間暗視対応の防犯カメラを設置し、録画・遠隔監視できるようにします。動体検知センサーや赤外線センサーと連動して異常時にアラームを発報する仕組みを整えましょう。最近はAI解析で不審者を検知する高度な監視カメラシステムも登場しています 。
  • フェンスや南京錠など物理的防護: 敷地の周囲に頑丈なフェンスを張り巡らし、施錠できる門扉を設けます。フェンス上部に有刺鉄線や侵入抑止策を施すのも有効です。また配電盤やケーブル収納箱にも鍵を掛け、容易に開けられないようにしておきます。侵入に手間がかかるほど犯行抑止につながります。
  • 地域ぐるみの見回り強化: 発電所が点在する地域では、オーナー同士や地元住民と協力してパトロールを行いましょう。互いに異常がないか定期的に見回ることで犯行のタイミングを与えにくくします。地元警察とも連携し、不審車両を見かけたら通報するなど地域一帯で監視網を築くことが大切です。
  • 盗難保険への加入: 物理的対策をしても盗難被害を100%防げるわけではありません。万一被害に遭ったときに備えて損害をカバーする保険に入っておくことも重要です。特に太陽光発電設備専用の保険なら、盗難による機器の損傷・盗取だけでなく、発電停止による収益減まで補償される商品もあります。

もしもの時の備え:太陽光設備向け盗難保険のススメ

最後の盗難保険についてもう少し補足します。太陽光発電設備は高額な資産ですので、盗難や破損に備えて保険に入ることが推奨されています。一般的な動産総合保険や火災保険でも盗難被害が補償対象になる場合がありますが、太陽光設備に特化した保険の方が手厚い補償が受けられ安心です。

例えばF-Three社が提供する「太陽光発電の保険相談所」では、太陽光設備の盗難被害に対応した保険プランの相談・見積もりが無料でできます。パネルやケーブルの盗難による機器の再取得費用はもちろん、盗難で売電不能になった期間の逸失利益まで補償される商品も取り扱っています(契約内容によります)。実際に「盗難保険に入っていたおかげで早期に資金を確保し、設備を復旧できた」というオーナーの声もあります。防犯対策とあわせて金銭面の備えも万全にしておけば、万一被害に遭っても事業へのダメージを最小限に抑えられるでしょう。

太陽光パネルの盗難対策は待ったなしの課題です。警察による規制強化の動きは心強いですが、法律の施行・浸透には時間がかかります。それまでは自分の設備は自分で守るという意識を持って、防犯対策と保険準備を進めておきましょう。幸い保険に関しては専門業者がサポートしてくれます。興味のある方はぜひ太陽光発電の保険相談所の太陽光設備盗難保険ページから詳細を確認してみてください。大切な太陽光発電所を守るために、できる備えは今すぐ始めておきましょう!

以下出典。

警察庁「金属盗難対策に関する検討会報告書」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/scrap/meeting_material3.pdf

警察庁 金属盗難対策 概要資料(Summary)
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/scrap/summary.pdf

朝日新聞デジタル
「銅価格高騰で金属盗急増、法規制で盗品流通に歯止めを 警察庁報告書」

https://www.asahi.com/articles/AST190DMNT19UTIL01XM.html

朝日新聞デジタル
「『何でこんな所まで…』 太陽光発電施設で盗難急増 所有者は困惑」

https://www.asahi.com/articles/ASR7F31X0R76OBJB001.html

SOLAR JOURNAL
「金属盗難対策法案を閣議決定、買い取り業者に営業届け出を義務化」

https://solarjournal.jp/policy/58821/
Asilla ブログ
「太陽光施設で深刻化する“銅線泥棒” AIでどう解決?—AI警備の活用例から導入メリットまで解説—」

https://jp.asilla.com/post/column-solarpowerplant-202308

 


監修者:川原 史則

「太陽光発電の保険相談所」の運営会社、株式会社FFFの代表取締役。
太陽光発電に特化した損害保険代理店歴約11年で2023年5月時点で約20,000件を超える太陽光発電の保険の契約に携わる太陽光発電の保険に関するプロフェッショナル。
太陽光発電と保険の両方に詳しい代理店は稀な為、日々全国各地から太陽光発電の保険の相談を受けている。