太陽光発電は様々な故障リスクが…
太陽光発電の自然災害事例記事
2021.11.22
北陸、東北、北海道は要注意!雪で起きる太陽光発電の故障
太陽光発電は、積雪によってどのようなリスクがあるかご存じでしょうか?
多少の雪であればソーラーパネル上に雪が積もっても時間で溶けたり、雪かきをしたり大きな対策をする必要もなく発電をすることができます。
しかしながら、大雪となると太陽光発電の様々な部分に影響が出ますので保険の加入や設備対策が必要になります。今回は、北陸、東北、北海道などの積雪地域に太陽光発電を設置する際に気を付けた方がよい損害発生パターンや保険、保証、設備対策について記事を書きましたので参考にいただければと思います。
目次
雪災による損害発生のパターン
パネルの破損
積雪の荷重やモーメントにより太陽光パネルがひび割れ、 破損 する 。
フレーム、框(かまち)の連変形
積雪時にパネル表面で雪が氷化し、積雪が滑り落ちようと太陽光パネルに沿って下に押しだす力が発生する。太陽光パネルは周囲を框によって固定されているため、この力によってフレームや框が変形すると、それにあわせて太陽光パネルもひび割れ、あるいは脱落する。
架台部材の破損やゆがみ
太陽光パネルの積雪荷重やモーメントにより、架台が変形・破損する。
想定以上の積雪による短期・長期荷重 や 、部材の応力不足によるもの 。
接合部破損
架台部材の許容応力が十分であっても、溶接や金属アングル、ボルトナットなど架台接合部の強度が 不足しているもの 。 万が一の破損を想定せずに太陽光パネルや架台を連結している場合、大雪で一部架台が破損すると、結束され た部分が連動して壊れる。
基礎の不等沈下
基礎が部分的に沈下し、架台や太陽光パネルがゆがみを起こして破損する。
地盤の地耐力が一定で ない場合や、基礎 が支持層まで届いていない場合に 、部分的 (不等 な沈下が起きやすい (以下写真出所:日経BP)
雪災リスクへの設備対策
架台に対する対策
架台は太陽光パネルを支え、荷重を建築の構造物や基礎を通して地盤面に伝える。太陽光発電の架台は
電気工作物であり、 強度に関する基準は電気設備技術基準に従う。また架台の設計については、 「太陽電池アレイ用支持物設計標準( JISC8955 )」に定められている。
構造
Ⅰ、Ⅱはパネル母屋材が張り出すため架台部材を小さくできるが、Ⅱは下部張り出し部分に降下した積雪による太陽光パネル破損事故につながりやすい。Ⅲ、Ⅳは長い架台部材の支点間距離が大きいため 、太陽光パネル中央部に破損が起こりやすい。このようにタイプにより一長一短があるが、どのタイプにおいても、適切な構造設計の上で部材選定がされていることが重要である。さらに風や雪、地震によるたわみやずれといった 挙動に追随する工夫も 、事故防止の観点から有効である。
材質
架台の部材は一般的にH 型鋼、等辺山形鋼、鋼管、角型鋼管、リップ型鋼、軽溝形鋼、 T 型鋼、鋼棒 やアルミ材等があるが、一概にどの材質が構造的に強いとはいえない。部材にかかわらず、構造計算に基づいて基準値を満足する適正な選定がなされているか、接合部の部材強度が検討されているかが重要である。 太陽光発電の急速な普及に伴い、単管パイプ等の工事用仮設材料が架台部材として市場に普及し 、事故例も確認されている。しかし、単管パイプの脆弱性だけの問題ではなく、屋外で 15 20 年以上 の使用に耐える耐久性材料強度、接合方法等を備えているのか 、地盤への支持は適切かなどの観点から、設計から施工までを通じて検討を行うことが重要である。
基礎に対する対策
地盤調査が適切に実施され 、 構造上地耐力が満足していることが重要である。
地耐力が不足している場合、地盤改良等の必要な措置を取る必要がある。
直接基礎: 束ごとに独立した基礎と、面的な連続基礎がある。ともに地耐力を有する地盤の支持層まで埋設する必要がある。
杭基礎: 杭を支持層まで打ち込むもの。 現場打ちコンクリート杭、既製のプレキャストコンクリート杭、コンクリートや鋼製の箱状杭 によるケーソン杭などの種類がある 。
雪災リスクへの保険対策
雪災リスクに対応している保険
雪災リスクに対応している保険は、保険会社によって変わりますが動産総合保険もしくは火災保険によって補償していくことが多くなっております。大体は特約などで雪災を付けるというよりは標準補償として雪災はついています。
補償対象に出来る雪災例
・太陽光パネル上に雪が積もり雪の重みで架台が曲がるもしくは沈下する。
補償対象に出来ない雪災例
・太陽光パネルに雪が積もり発電が落ちた
雪災リスク回避のポイント
雪災リスク回避としては「設置計画」「設計・施工」「維持管理」「補償体制」の大きく4つのポイントを抑える事で雪災によるリスクヘッジがが行えます。
設置計画
・豪雪地域の把握を行う
・風況環境の把握を行う
設計・施工
・ 独自の規格設定 JIS 基準を超えるもの
・ 施工者の技術水準 確保
維持管理
- 除雪体制 の構築 豪雪地域以外では雪下ろし 経験が不足
補償体制
- 雪災対応の保険、保証に加入
- 売電補償に加入
まとめ
積雪地域では、設備対策や保険加入は最低限行い、冬場は天気予報をこまめにチェックしながら雪が多く積もる予報であれば雪かきなどのメンテナンス体制も必要になってきます。
一方で雪が降る地域でも太陽光発電はばっちり発電しますので地域に合わせた対策を怠らないように努めることが大事となります。
弊社では、太陽光発電の雪災を保険でカバーできるプランをご用意しておりますのでお気軽にご相談くださいませ。
雪以外の事故傾向についてはこちらの記事でご紹介しておりますのでご参照ください。
意外に知らない?日本国内で起きている太陽光発電の事故傾向について
出典:MS&ADインターリスク総研株式会社
監修者:川原 史則
「太陽光発電の保険相談所」の運営会社、株式会社FFFの代表取締役。
太陽光発電に特化した損害保険代理店歴約11年で2023年5月時点で約20,000件を超える太陽光発電の保険の契約に携わる太陽光発電の保険に関するプロフェッショナル。
太陽光発電と保険の両方に詳しい代理店は稀な為、日々全国各地から太陽光発電の保険の相談を受けている。